全ては『兄』の名の下に(仮)
「遂にこの日がやってきた」
暗い地下室の中で青年は言った
「地球を悪の手から守る為にやってきた宇宙人から教わった技術を駆使し作り上げそして今日完成した」
独り言を呟きながら感動に酔いしれている
「そしてこのボタンを押せば動き出す」
そう言ってボタンに手を掛け息を整える
「起動せよ、ハイドロゲン」
その言葉と同時にボタンを押す
すると「001」と書かれたボックスの扉が開き中には女の子が眠っていた
そして女の子の目は開く
「おはよう、お兄ちゃん」
「おはよう、ハイドロゲン。ところで君の使命は分かってる?」
「はい。お兄ちゃんと一緒に地球を侵略しようとしている悪者にお仕置きする事です」
「宜しい。良く出来ました」
そう言ってハイドロゲンの頭を撫でる
ハイドロゲンは嬉しそうに俯いていた
「よし。今日はハイドロゲンの誕生祝いにケーキでも買いに行くか」
「私も行って良いですか?」
「まだ起きたばかりだからあまり動かない方が良いんじゃないか?」
「それなら大丈夫です。それに外の世界を見てみたいから」
「そうか。じゃあ、行こう」
「はい」
二人はケーキを買いに店へと向かった
車も人もあまり出会わない片田舎
ケーキを買いに行くと入ったがケーキ屋がある訳でもなく村で唯一の商店へ向かう
「いらっしゃいませ」
二人が店にはいると明るい声が響く
「こんにちは。今日は一人で店番なの?」
「ええ。お父さんが会合で出ていったから・・・そちらの女の子は?」
「あっ、遠い親戚の子で今日から一緒に住む事になったんだ」
「初めまして、ハイドロゲンと言います」
「何か変わった名前ね。私は三上綾奈、宜しくね」
「はい、宜しくお願いします」
「ところで今日はケーキある?」
「ケーキならあるけど・・・珍しいですね。貴方がケーキを食べるなんて」
「いや、今日はこの子の誕生日だから」
「そうだったの。だったらケーキでお祝いしないとね」
そう言ってガラスケースの中に入っているケーキを二つ取り出し箱に入れる
「はい、ハイドロゲンちゃん」
「ありがとうございます」
ハイドロゲンは大事にケーキを受け取った
「それじゃあ僕等はこれで」
「毎度有り難う御座いました」
二人はケーキを手に帰る事にした
「さてと、ケーキを食べますかな」
帰ってからケーキを食べる準備を終え座ろうとする
その時、緊急時のサイレンと天井に設置されているパイロットランプが点滅した
「遂に来たか」
そう言ってテレビのスイッチを入れると敵の位置が表示された
「北の森の湖の辺りか・・・行くぞ、ハイドロゲン」
「了解しました」
ハイドロゲンは戦闘用スーツを着て軽トラの助手席に乗る
「それでは湖に向けて出発」
軽トラは二人を乗せ走っていった
一方湖には数十名の戦闘員と謎の怪人そしてリーダーらしき女性が居た
「フッ、フッ、フッ・・・この湖の水を使って水力発電をして我が秘密基地の電力にするのだ!」
「シャー」
「お前も協力してダムを造るのだビーバーン」
「ラジャー」
そこへ軽トラが到着し二人は車から降りた
「お前達の悪事もここまでだ」
「誰だ、我々を『ニュートリノン』だと知っての狼藉か!」
「『宇宙侵略組織ニュートリノン』・・・やはりあの話は本当だったのか。我々は侵略者から地球を救う正義の秘密組織・・・」
しかしその続きの台詞が浮かばない
「しまった!組織名考えてない」
「どうするんですか?」
「どうしよう・・・ちょっと待ってくれ」
「考えるのはよいが早めにしてくれ」
律儀に待つニュートリノン
そして五分後
「我々は『正義の秘密組織アトムズ』だ!」
「『アトムズ』・・・邪魔をするというのなら相手になってやる。行け、戦闘員達」
戦闘員達は一斉に襲いかかってくる
「ハイドロゲン、ハイドロガン」
「了解」
ハイドロゲンは腰にある銃を手にし戦闘員達を全て倒した
「なかなかやるな『アトムズ』・・・ならばビーバーン、アイツ等を蹴散らせ!」
「ラジャー」
ビーバーンはハイドロゲンに襲いかかる
ハイドロゲンは何とか回避しながら攻撃する
「強いです」
「お前も強いな・・・だがまだまだだ」
そう言ってビーバーンは湖の中に潜った
「何処に行ったのでしょう」
湖に近づくハイドロゲン
すると水面からいきなり手が出てきて水の中に引きずり込まれた
「キャー」
「バカめ、俺様はビーバーだから水中の方が強いのだ」
そう言ってハイドロゲンを水中へと沈めた
そして一分が経過した
「フフッ、勝負あったようだな。今頃ビーバーンがあの娘を溺れさせているハズだ」
「いやまだだ。ハイドロゲン、ハイドロキャノン」
その言葉と共に水面から一気に水柱が立ちビーバーンが吹き飛ばされていた
「ぐわっ」
「何だと!」
「ハイドロゲンの意味知っているか?ま、教えるつもりはないがな」
「くそっ・・・ビーバーン、もう一度水中へ行け」
「そうはさせるか。ハイドロゲン、もう一発ハイドロキャノン」
「了解、ハイドロキャノン発射」
ハイドロゲンの肩に装着されているキャノン砲から大量の水が放出されビーバーンの体を貫いた
「どうせなら子作りの為にダム作りたかった・・・」
その言葉と共にビーバーンは大爆発した
「覚えていろ!『アトムズ』」
リーダーらしき女性はそう言って去っていった
「よく頑張ったな、ハイドロゲン」
そう言って頭を撫でる
「はい」
「それじゃあ、帰ってケーキでも食べるか」
「そうですね」
二人は軽トラに乗り込み家路に着いた